ピクサー級CGアニメ、正月映画「小門神」を観たよ
偶然テレビで放送されていたのを途中から見て、ディズニーやピクサーにしてはインテリアがあまりに中国風なのでもしかして中国アニメなのかな、と思って少し調べてみるとそうでした。キャラクターのふんわりしたコミカルな動きがカワ(・∀・)イイ!!し、仮装ダンスのシーンやCGで表現された自然や街並みの風景も美しく、度肝を抜かれました。
アニメ映画「小門神」の予告編&ストーリー
ストーリーは、天界と人間界とにまたがります。
神のありがたみを忘れた現代人の増加によって、天界は経済危機になり神々は失業寸前。物語の中心となる神様は、日本で言うところの仁王像みたいなもので、一対になっている太っちょと、痩せ型の二人組の門の神様。(以下、太っちょと痩せ型)
時代が変わったことを受けて、神々もイノベーション、新しいビジネスモデルが必要だと言われ、二人は天界で職業訓練に参加することになります。訓練では世俗化や変革を享受するよう指導されますが、痩せ型のほうは、気がすすみません。そこで痩せ型は、人間たちに神のありがたみを知らしめるため、封印されていた恐ろしいモンスター、年神様を目覚めさせてしまおうと考え、人間界に足を踏み入れます。
一方、人間界でのストーリーは、都会から実家に出戻った母子二人を中心にすすみます。二人は故郷で、おばあちゃんのおばあちゃんのそのまたおばあちゃん…の代から続くワンタンスープ屋を引き継ぎますが、隣に新規開店した悪徳ファーストフード店に苦しめられます。子ども(雨子ちゃん)は、友達もできず、独りぼっち。
そんなとき、封印を解こうと人間界にやってきた痩せ型と、それをやめさせようと後を追ってきた太っちょの門の神様がそれぞれ違うタイミングでワンタンスープ屋の少女、雨子ちゃんと出会います。というのも、このワンタンスープ屋の門には門の神様のポスター(お札みたいなもの)が貼ってあるからなんです。
人間にとっても神々とっても困難である「変革(改変)」をどう生きるか、というのがテーマの一つとして描かれています。神々は信心深くなくなってしまった現代っ子にどう信頼してもらうか悩み、ワンタンスープ屋の親子は、百年変わらない味に飽きたのか寄り付かなくなったお客を増やすために何を変えるべきか苦心します。
太っちょは、門の神様の役目を果たそうと懸命に生きる母子二人の店を守りますが、痩せ型が次々と封印を解き、平和だった人間界に災いを招いてしまいます。そしてついにモンスターが目を覚まし・・・。
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正月を祝うあの魔法のアイテムが、世界を救う手助けに
たくさんの神さまが登場する民間信仰的なストーリーを盛り立ててくれるのが、中国で見かける様々なお守りやお祝いのアイテムです。例えば、痩せ型が雨子ちゃんを助けるときに渡すのが翡翠のブレスレット。よく、留学生が腕に着けているのを目にしますが、きっと魔よけの意味があるのかな、と思いました。さらに作品中のモンスターとの闘いでは、旧正月お馴染みの爆竹など、おめでたいグッズが様々に活躍します。変革の中でも伝統や風習を大事にしようね、というメッセージがこっそり(いや大っぴらに)込められていてディズニーには絶対に無い作りだなと感じました。最近は中国でも旧正月を祝う際の爆竹(うるさいし危ない)やランタン飛ばし(火事になるし高層ビル街で危ない)が時間帯や場所によって規制されてきていてます。
個人的に面白いと感じたポイント
観終わってからふと気づいたのですが、ストーリー全体を通して男女がくっつく、ということがありません。私は貧しい娘が白馬の王子さまに助けられる的な展開がどうしても苦手なので、カップル成立に終始しないストーリーに好感を覚えました。
また、中国の不思議な神仙についての図解本(中国語わからないから)を立ち読みするのが好きなので、土地神様とか、巨灵神とかいろいろな神様が登場するのも興味深かったです。作品に登場する巨灵神が、浜乙女のCMに出てくる「でいたらぼっち」にそっくりだったり、天界から人間界に移動するときに鳥居みたいなのをくぐるシーンがあったり、痩せ型が門神の像が多数設置されている家(?)を訪ねた時に、敷居をまたぐシーンがあったり…。「八百万の神」って日本固有のことだと勘違いしてましたが、そうじゃなさそうだなとこのアニメで気づかされました。
日本公開があるかどうかわかりませんが、嫌みなく楽しめるアニメ作品だと思います。
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